Elsevier(エルゼビア)負の歴史メモ
Elsevier社がまたやらかしたようなのでメモ
The Lancet(医学)、Cell(生物学),Nuclear Physics(高エネルギー物理学)
などの権威のある雑誌を多数擁する老舗学術出版社Elsevierの負の歴史をメモ.
日本語版wikipediaには情報がかなり不足してる
2009: 2000~2005年の間に6つの虚構ジャーナルを出版してたことが報じられる
2012 :学界の春(Academic Spring) -- "The Cost of Knowledge" boycott--
フィールズ賞受賞数学者ウィリアム・ティモシー・ガワーズによるエルゼビア社ボイコット運動.
謝罪とともに数学系の雑誌のオンライン使用料を大幅に下げる.
2013:医学系オープンアクセス雑誌大量摘発事件にひっかかる
"Who's Afraid of Peer Review?"と題したScience誌の記事で数百のopen accessジャーナルの査読がざるだということが証明される.
その中の一つにElsevierの雑誌 "Drug Invention Today"が含まれていた
2015 : 言語学におけるボイコット運動
Entire editorial staff of Elsevier journal Lingua resigns over high price, lack of open access | Ars Technica UK
言語学で進行中のオープンアクセス革命: エルゼビア傘下のトップジャーナルLinguaのエディター陣がエルゼビアに対しOA化を要求→エルゼビアが拒否→エディター全員が辞任表明、完全OAの新ジャーナルGlossaを立ち上げ。https://t.co/m3uHUdEUza
— Wataru Uegaki (@uwatar) November 3, 2015
New Jorunal は
Glossa: a journal of general linguistics
2016 : 国家レベルでの集団ボイコット運動
最近は追いかけてなかったのだが、ボイコット運動は国家レベルに波及してるようだ.
ペルー、ドイツ、台湾では大学が集団でボイコット運動するようだ
例えば台湾では、上位11機関を含む大学の75%以上がエルゼビアとの共同ボイコットに参加している
またドイツではDEALと呼ばれる団体が交渉にあたっているようだが、この交渉は合意に至らず十二月に終了した。一月から交渉が再開される可能性もあるようだが、仮にそれも物別れに終わったとしても、DEAL結成以前はドイツの機関がElsevierと個別に契約を交わしており、何百もの大学が依然として複数年契約を結んでいるため、まだ影響はないみたいだ。
ところでもしElsevierの論文がどうしても読みたい場合の代替案対策はどうしてるのだろうか?
一つの合法的な解決策として国際的な「図書館間貸付」サービスに参加するという方法があるようだ。
またおそらく違法ではあるがSci-Hub というサイトを使うこともできる.ペルーの科学者は割と使ってるようだ。というのもペルーは世界保健機関(WHO)が設立したヒナリ(HINARI)というイニシアチブのもと、最近まで科学の主要ジャーナルへの無料または低コストのアクセスを受ける資格があったのだが経済成長のために2012年にその権利が失効したためにSci-Hubを使うようになったようだ。ペルーのある植物学者は「私は30歳です。私の世代の約95%がそれを使っている」と述べている.
しかし、やはりペルー以外の科学者たちは、Sci-Hubの使用には消極的であり、アクセス不足の永続的な解決策ではないと考えているようだ。
ペルーの件を見て思ったが、これらの有料雑誌制度の最も醜悪なところは先進国、とりわけ欧米の先進国が雑誌購読料として
貧しい国から高額の購読料金を搾取してると言うことだ。本来なら知識を世界にあまねく拡散するように努力するべきなのに、その知を
先進国だけに止めようとする愚かしさに加担してはならないだろう。
また、納税者は、税金の使われた研究について読む権利があるのは当然だろう.
日本もボイコット運動に参加しよう
ところでたまたまこんな動画を見つけた. 14歳の時、RSSの規格作成に参加し、SNSのRedditの開設にも関わったアーロン・シュワルツ氏が自殺した話題。シュワルツ氏はかねてより学術雑誌論文のオープンアクセスを提唱しており、その実現のために自身もゲリラ的に論文を大量取得していた事で禁固50年、罰金100万ドルという懲罰的な刑罰を検察により求刑された。シュワルツ氏の自殺を受けて、世界各国の学者の間で自分の書いた論文を無料でウェブに公開する運動が起きていたようだ。